解剖学実習 vs Virtual Dissection

岩手医科大学 医学部 解剖学講座 教授 佐藤洋一様より




 英国の一部の医学部あるいはシンガポールの医科大学では、

解剖実習を廃止して、放射線画像診断をもって、人体解剖を教えているらしい

実際、Realiaを使って、DICOM画像を読み込むとかなりのものが描出される。


 左心房を後ろから見た図は、解剖図ではよくみかけるものの、

実際の解剖実習ではこうした剖出はしない

(できないわけでは無いが、通常は前方からアプローチする)。


岩手医科大学 医学部 解剖学講座 教授 佐藤洋一様

 腹部の血管を剖出するのも、内臓脂肪べったりの現代人では、難しい。

岩手医科大学 医学部 解剖学講座 教授 佐藤洋一様




 じゃあ、解剖実習は無意味かというと、

こうした画像診断では末梢神経が今のところ描出されない。

また、硬さ・柔らかさは、実際の手で触らないとわからない。

画像診断でつけられる色は、所詮、擬似カラーに過ぎない。


 ではやはり画像診断方法を用いたViertual Dissectionは劣るかというと、

何度もくり返して”見る”(言い換えれば、”解剖する”)ことのできるメリットは計り知れない

フォルマリンアレルギーを起こすこともない。第一、生きた人間をそのまま”解剖できる”のだから


 とすれば、肉眼解剖実習か放射線画像診断方法か、という2者択一で考えるのではなく、

相補的にとらえるべきであろう


 来年度より解剖実習に先行して、Virtual Dissectionを取り入れ、

学生に自由にコンピュータの中で思う存分解剖をしてもらい、

翌年度、実際の解剖実習をおこなうようにカリキュラムを変更した。

医学部に入った学生は、解剖実習を経て、ただの大学生から医科大学生へと変身する。

死後、自らの遺体を医学教育用に供する行為は貴く、

そしてその高貴さ故に献体は学生にとって至高の師となっている。

予習不足の学生は、献体を解剖する資格が無いと思う。

であればこそ、Virtual Dissectionでしっかりと本番に備えて勉強をしてもらいたい